心電図を確認する装置の事故 10年間に41件 日本医療機能評価機構の調査 | NHK | 事故
今回はこちらの記事について解説していきます。
はじめに
入院中の患者の心電図を医療機関内の離れた場所で確認する装置の電池が切れたなどの理由で、患者の状態が把握できなかった事故が全国の医療機関でことし3月までの10年間に41件あったことが分かりました。
因果関係は不明なもののこのうち13件で患者が死亡していて、調査を行った日本医療機能評価機構は注意を呼びかけています。
日本医療機能評価機構とは?
公益財団法人日本医療機能評価機構(日本語では「にほんいりょうきのうひょうかきこう」または「JCQHC」とも呼ばれます)は、医療の質に関する日本の第三者機関です。
1995年に設立され、医療機関の機能を学術的観点から中立的な立場で評価し、問題点の改善を支援します。
具体的には、病院機能評価事業や医療事故情報収集事業、産科医療補償制度運営などを行い、国民の健康と福祉の向上に寄与しています。
入院患者に使われているモニター心電図とは?
モニター心電図は、患者さんの心電図異常を24時間リアルタイムに観察する装置です。
以下にモニター心電図の特徴と観察ポイントを簡潔に説明します。
- 特徴:
- 長時間にわたり連続的、継時的な心電図測定が可能。
- 患者から離れた場所でも観察できる。
- 危険な心電図変化はアラーム音で通知。
- 必要時には記録用紙を用いて波形を自動に記録できる。
- 捉え方:
- 3点誘導法を使用し、1方向からの心臓しか捉えられない。
- 赤・黄色・緑の3つの電極を貼り、誘導の設定によって心臓をとらえています。
- Ⅱ誘導が最も一般的に使われています。
- 観察ポイント:
- 装着後の波形を確認(波形が捉えられていなければ再貼付)。
- Ⅱ誘導になっているか確認。
- 患者に合ったアラーム設定を行う。
- 皮膚状態の観察(シールによる皮膚損傷に注意)。
なぜモニター心電図での装置で死亡事故が起こる?
モニター心電図装置が死亡事故を引き起こすことは非常にまれですが、いくつかの要因が考えられます。
以下にいくつかの理由を示します。
- 技術的問題:
- 装置の誤動作や不具合が原因で、正確な心電図データが得られない場合があります。これにより、異常な心電図変化が見逃される可能性があります。
- 人的ミス:
- 心電図電極の誤った配置や接触不良が、正確な波形の記録を妨げることがあります。
- アラームの設定ミスや無視が、重大な心電図変化を見逃す原因になることがあります。
- 患者の状態:
- 重篤な心臓疾患を持つ患者では、モニター心電図の監視が特に重要です。しかし、病状が急変し、適切な対応が遅れることがあります。
- 過信:
- モニター心電図は便利なツールですが、医療専門家は常に臨床的判断を行う必要があります。装置の結果だけに頼ることは危険です。
医療従事者は慎重にモニター心電図を使用し、適切なトレーニングを受けていることが重要です。
おわりに
医療事故の分析などを行う日本医療機能評価機構は、2014年からことし3月までに患者の心電図を、ナースステーションなど離れた場所で確認するための装置の電池切れや、設定の誤りなどで患者の状態が把握できなくなった事故が41件あったと発表しました。
日本医療機能評価機構はこうした事故は治療の遅れにつながるおそれがあるとして医療機関に対し「機器の装着や設定の手順を確立し、職員に手順を守るよう周知してほしい」と呼びかけています。
医療が発達し様々な機器が出てきていますが、それに合わせて医療従事者が求められる知識の量も上がってきている印象ですね。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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