助かる命が助からなくなる… “救急車呼んだら7700円”の背景 三重県松阪市 「選定療養費」とは? | NHK | WEB特集 | 医療・健康
今回はこちらの記事について解説していきます
はじめに
「救急車で運ばれても入院に至らなかった場合7700円を支払う」
そんな取り組みが三重県松坂市で6月1日よりはじまり、注目を集めています。
賛否様々な意見が出ていますが、なぜこうした取り組みが始まるようになったのでしょう?
初の10分超え、いま救急車がピンチ
総務省消防庁によると、去年の救急車の出動件数はおよそ全国で760万件
コロナ禍での外出自粛などの影響で一時、減った時期があったものの、その後急増…
過去最多を2年連続で更新しています。
さらにこの影響で、119番を受けてから救急車が現場に到着するまでの平均時間は、最新のおととし時点のデータで10.3分になっています。
20年前より4分遅くなり、初めて10分を超えました
心停止した際に、救急救命処置をとらないまま10分を超えると生存が極めて難しくなるとされていて、今、救急車をめぐる状況は危機的だと言われています
出動件数減に向け軽症者から7700円
こうした背景の中で松坂市で始まったのが、「救急車で運ばれても入院に至らなかった場合は7700円を支払う」という取り組みです。
これが報道された際に「救急車有料化」として、メディアやSNSで大きな話題となりましたが、これは市や消防化が徴収するものではないため、実際には有料化には当たりません。
活用されているのは、「選定療養費」という仕組みです。
選定療養費とは?
選定療養費に関して、病床200床以上の病院で初診時に紹介状なしで受診する場合、特別な料金として7000円(税込で7700円)が徴収される制度があります。
これは、令和4年10月1日から施行された新しい制度です。
この制度の目的は、医療機関の機能分担を促進し、地域の医院や診療所などのかかりつけ医を通じて初期診療を行い、高度・専門医療は200床以上の病院で行うことを推進することにあります。
紹介状なしで特定機能病院や一般病床200床以上の地域医療支援病院を受診した場合に、初診時選定療養費として7000円(税込7700円)が徴収されることになります。
再診時には、病状が安定して病院からかかりつけ医を紹介されたにも関わらず、引き続きその病院を受診する場合には、再診時選定療養費として5000円(税込5500円)が徴収されます。
ただし、以下のような例外もあります
- 自施設の他の診療科から院内紹介されて受診する場合
- 医科と歯科との間で院内紹介された場合
- その他、厚生労働省が定める特定の条件を満たす場合
選定療養費は保険適用外となるため、全額自己負担となりますが、医療費控除の対象にはなり得ます。
松坂市内では
市内にある3つの総合病院では、救急車で搬送された患者さんからは、いっさい選定療養費を徴収していなかったのですが、市や消防と協議した上で、救急搬送されたものの入院に至らなかった場合に7700円を徴収することになったのです。
従来からある仕組みで活用したもので、軽症でも事故などで搬送された場合は対象外となり、徴収するかどうかは最終的には病院の医師が判断します。
このような制度を利用する市や消防は全国的に増える可能性があると筆者は考えます。
おわりに
実際に自分や家族の体調が悪くなり、救急車を呼ぶべきか迷った際は、電話で相談できる「♯7119」が急速に広がりつつあります。
この番号にかけると、看護師などが症状を聞き取って、「すぐに救急車を呼ぶべき」、「翌日以降の受診でよい」といった医療につながる適切なタイミングを教えてくれます。
救急車で搬送されるにしても、自分で後から病院に行くとしても、必要な人が必要なタイミングで医療に繋がる社会が出来上がってくるように感じます。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。