白血病治療薬 ALS症状の進行抑える効果 治験結果 京都大学など | NHK | 医療・健康
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今回はこちらの記事について説明していきます。
はじめに
難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんに白血病の薬として使われている薬を投与した所、症状の進行を抑える効果が確認できたとする第2段階の治験の結果を、京都大学などのグループが発表しました。
この薬はiPS細胞を使った実験で、ALSにも効果がある可能性が示されたもので、研究グループは今後、早期に患者さんに使えるようにしたいとしています。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは?
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、運動神経細胞が選択的に障害される神経変性疾患です。
運動神経細胞は私たちの運動機能に大きく関わっており、脳から指令を送る上位運動神経細胞と、脳幹・脊髄から筋肉へとつながる下位神経細胞の2種類に分けられます。
ALSを発症すると、これらの神経細胞のどちらも障害され、徐々に筋肉が衰えて力が出なくなります。
症状は患者さんによってさまざまで、手の脱力や筋肉の萎縮、喋りにくさ、食べ物の摂取が難しいなどが現れることがあります。
ALSは進行性で、平均的に3.5年で亡くなることが多く、診断が困難な場合もあるため、早期の受診が重要です。
「ポスチニブ」という白血病の治療薬が有効?
白血病の治療薬である「ボスチニブ」がALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行を抑制する可能性が示されています。
研究チームは、ALS患者さんを対象にした第2相試験で、ボスチニブの有効性と安全性を評価しました。
この治験では、少なくとも13人の患者さんで症状の進行抑制が認められたと報告されています。
ただし、ボスチニブは現時点でALSの治療薬として使用できる状況にはありません。今後の研究結果に期待が寄せられています。
ボスチニブがどのようにALSを抑制するのか詳しく教えて
「ボスチニブ」は、白血病治療薬として使用されている薬剤で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行を抑制する可能性が示されています。
以下に詳細を説明します。
- 研究の背景と概要:
- ALSは運動神経細胞の変性により筋肉の衰えを引き起こす進行性の疾患であり、現在の治療法は進行を緩和するものの根本的な治療法は存在しません。
- 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の研究チームは、ALS患者さん由来のiPS細胞を用いて、ボスチニブがALSの病態に対して有効であることを見出しました。
- 第1相試験の結果:
- 2019年から2021年まで実施した第1相試験では、ボスチニブにALS特有の有害事象は認められず、一部の患者さんでALSの進行の抑制が認められたことが明らかになりました。
- 第2相試験の結果:
- 2022年から第2相試験を実施し、ボスチニブの24週間投与時において、運動機能障害の強さを示すALSFRS-Rスコアの低下が抑制されていることが示されました。
- 主要評価項目2つを達成し、副次評価項目の1つを達成されました。
- 安全性:
- ALS特有の有害事象は認められませんでしたが、下痢や肝機能障害が報告されています。
おわりに
この研究を行っている井上教授は、「患者により早く新たな治療薬を届けられるように、規制当局と協議をしながら、条件付き承認の制度の申請など、様々な仕組みの適用を検討していきたい」と語っています。
ALSの予後を左右すると考えると、今後もこの研究の成果には目が離せません。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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