今回は、ギランバレー症候群の新たな治療アプローチについて説明していきます。
医療従事者の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré Syndrome, GBS)は、自己免疫反応により末梢神経が障害され、急速な筋力低下や麻痺を引き起こす疾患です。
これまでの標準治療は、免疫グロブリン療法(IVIg)や血漿交換療法が中心でしたが、重症例や再発例に対する効果は限定的でした。
近年、補体阻害療法や自己反応性T細胞へのアプローチなど、新たな治療法が研究・開発されています。
今回は、2025年時点で注目されているギラン・バレー症候群の新たな治療アプローチについて、最新の研究成果を基に解説します。CareNet.comLab BRAINS+1KAKEN+1
1. 補体阻害療法の進展
-
補体システムの活性化がGBSの病態に関与していることが明らかになり、補体阻害薬の開発が進められています。
-
ANX005は、補体C1qを標的とするモノクローナル抗体で、古典的補体経路を阻害し、神経損傷を軽減することが期待されています。
-
2024年の第3相試験では、ANX005の投与により、8週目のGBS障害スコアがプラセボ群に比べて2.4倍の改善を示しました。また、人工呼吸器の使用期間が中央値で28日短縮されるなど、有望な結果が報告されています。
-
エクリズマブ(抗C5抗体)も補体終末経路を阻害する薬剤として注目されており、第Ⅱ相試験では、24週時点で走行可能まで回復した患者が74%に達するなどの成果が示されています。ただし、統計学的な有意性は確認されておらず、さらなる研究が必要とされています。 KAKENWSJ+2Medscape+2WSJ+2WSJ+1Medscape+1note(ノート)+2CareNet.com+2KAKEN+2
2. 自己反応性T細胞へのアプローチ
-
GBSの発症には、自己反応性T細胞が関与していることが示唆されています。
-
2024年の研究では、GBS患者の末梢血において、ミエリンに反応するCD4+ T細胞が存在し、炎症性サイトカインを産生することが確認されました。
-
特に、サイトメガロウイルス感染後のGBS患者では、ウイルスとミエリンの両方に反応するT細胞クローンが確認され、感染と自己免疫反応の関連性が示唆されています。
-
これらの知見は、自己反応性T細胞を標的とした新たな免疫療法の開発につながる可能性があります。Lab BRAINS
3. 予後予測マーカーの発見と個別化治療
-
近畿大学の研究チームは、抗GD1a抗体がGBSの予後を予測する新たなマーカーであることを発見しました。
-
予後予測ツール「mEGOS」と抗GD1a抗体の併用により、6カ月後の独歩不能を高い確率で予測できることが示されました。
-
この知見は、予後不良例を早期に特定し、より強力な治療の適応を判断する上で有用とされています。
おわりに
ギラン・バレー症候群の治療は、従来の免疫療法に加え、補体阻害療法や自己反応性T細胞へのアプローチなど、新たな治療法の開発が進められています。
また、予後予測マーカーの発見により、個別化治療の実現が期待されています。
これらの進展により、GBS患者の予後改善と生活の質の向上が図られることが期待されます。KAKEN
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
-
Annexon Shares Rise 29% After Positive Results From Phase 3 ANX005 Trial. The Wall Street Journal. 2024年6月4日. note(ノート)+5WSJ+5WSJ+5
-
ギラン・バレー症候群の治療に新たな光-千葉大の研究-. ケアネット. CareNet.com
-
ギラン・バレー症候群の予後予測のための新たなマーカーを発見. 近畿大学. 近大大学+1最新ニュースをいち早く+1