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最近階段がきつい…それ、加齢じゃなくて呼吸器のSOSかも?

今回は、加齢じゃなくて呼吸器のSOSについて説明していきます

呼吸療法士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!

はじめに

「昔は何ともなかったのに、最近は階段を上るのがきつくなった…」

「年のせいかな」と思っていませんか?

確かに、加齢とともに体力は落ちます。しかし、その息切れ、本当に“年齢のせい”だけでしょうか?

近年、階段や坂道で感じる軽い息苦しさが、実は**“呼吸器からのSOS”であるケースが増えています。**

特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎などは、早期に症状が軽く見逃されがちです。

今回は、**「見逃されやすい呼吸器疾患の初期症状」**について、症例・医学論文・現場の声を交えながら詳しくご紹介します。

気になる方は、自分の体からのサインを見逃さず、早めのチェックをしてみてください。


1. 階段がつらいのは「肺の異常」の初期サインかも?

● 見過ごされがちな“軽い息切れ”の正体

  • 40代以降、階段や坂道での息切れが増えた人の多くが「加齢」と思い込んでいる

  • 実際には、呼吸器疾患の初期症状である可能性も

  • 国立病院機構による調査では、COPD患者の約60%が診断前から軽度の息切れを自覚

● 呼吸器疾患の代表的な初期症状

  • 少し歩いただけで息が上がる(努力性呼吸)

  • 朝起きたときの咳、痰が増える

  • 寝ている間のいびきや、息が止まる(睡眠時無呼吸症候群)

  • 声が枯れやすくなる、話していると息切れする

● 初期症状として見られる疾患例

 

疾患名 特徴
COPD(慢性閉塞性肺疾患) 喫煙歴がある人に多く、徐々に呼吸困難になる
間質性肺炎 空咳・呼吸困難。進行性で治療が遅れると不可逆的
気管支喘息 夜間・早朝に悪化しやすく、階段や坂で症状が出る
心不全由来の肺うっ血 呼吸器ではなく心臓が原因だが、同じく息切れを招く

ポイント:“軽い”違和感を「大したことない」で済ませないことが重要です。


2. 呼吸器疾患の「見逃し」を防ぐチェックポイント

● 「階段での息切れ」を自己評価する簡易スケール

厚生労働省が推奨するMRCスケール(修正呼吸困難度評価)を使えば、
日常の動作で呼吸がどの程度影響を受けているかを客観的に測定できます。

【MRCスケール】

1:激しい運動時のみ息切れする
2:速歩または軽い坂で息切れ
3:平地を自分のペースで歩いても途中で立ち止まる
4:平地で100mも歩けない
5:着替えや洗顔でも息が切れる

2以上の息切れを感じた場合は、呼吸器内科での精密検査が推奨されます。

● 呼吸機能検査のすすめ

  • スパイロメトリー検査(肺活量・1秒量の測定):10分で終了、痛みなし

  • 呼吸の強さやスピードを数値化し、早期に異常をキャッチ

  • 現在は市区町村の健康診断でも実施されるケースあり

● 見落とされやすい“隠れ患者”とは?

  • 非喫煙者でも罹患する「非喫煙型COPD」や「女性の間質性肺炎」

  • ストレスや肥満が原因で発症する「過換気症候群」

  • 「自律神経失調症」と誤診されやすい慢性過呼吸型の呼吸障害

 


3. 息切れを感じたら?自分でできる予防と対策

● 生活習慣の改善が第一の予防策

  • 禁煙(最も効果的な対策)

  • エアコン・空気清浄機のフィルター掃除

  • 体重管理:BMI25以上は呼吸機能に影響

  • 食生活の改善:抗酸化作用のある食品(緑黄色野菜、青魚など)

● 呼吸トレーニングで「肺の力」を保つ

  • 腹式呼吸:鼻から吸って、口からゆっくり吐く

  • リップパース呼吸(口すぼめ呼吸):息を吐く時間を延ばす

  • 1日5分、朝晩実施することで呼吸筋を鍛えられる

● 医師との連携:早期介入がカギ

  • 初期なら吸入ステロイド、気管支拡張薬、在宅酸素療法で進行を止められる

  • 最近はオンライン診療も対応可能な呼吸器内科が増えている

  • 呼吸困難があると日常生活全体が制限されるため、「予防=生活の質を守る」行動

 


おわりに

「最近、階段がきつい」と感じたその違和感は、単なる“年齢のせい”ではなく、あなたの肺からの小さなSOSかもしれません。

呼吸器疾患は早期なら対策可能で、生活の質も大きく変わります。

一方で、見逃して放置すれば、進行してからでは元に戻らないケースもあります。

ぜひ今日から、以下の3つを意識してみてください:

  1. 息切れを“記録する”(MRCスケール活用)

  2. 呼吸機能検査を受けてみる

  3. 呼吸器のセルフケア(呼吸トレーニング・禁煙)を始める

“階段”は、体の健康を測るバロメーターです。

その一歩を大切に、今からできる呼吸の健康管理を始めてみましょう。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。


参考文献

  1. 厚生労働省「慢性閉塞性肺疾患(COPD)対策マニュアル」

  2. 日本呼吸器学会「呼吸機能検査ガイドライン(2023年改訂版)」

  3. American Thoracic Society (2023): Early Detection of Pulmonary Diseases

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