今回は、姿勢以外の肩こりの原因について説明していきます
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
肩こり=姿勢の悪さ、と考える人は多いでしょう。
しかし、整形外科や筋骨格系の研究によると、実は肩こりの真の原因は他にも数多く存在します。
姿勢を正しても肩こりが治らない人、マッサージをしてもすぐに戻ってしまう人には、別の理由が隠れているかもしれません。
本記事では、あまり知られていない「姿勢以外」の肩こりの原因を、最新の研究と臨床データをもとに紹介します。
1. 「自律神経の乱れがもたらす肩こり」──ストレスによる神経性筋緊張
● 背景とメカニズム
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ストレスや精神的な負担が続くと、交感神経が優位な状態(いわゆる「戦うモード」)が続きます。
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この状態では筋肉が無意識のうちに緊張し、特に肩甲骨周辺や首まわりの筋肉が固くなります。
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交感神経が働くことで血管が収縮し、筋肉への酸素供給も低下 → 疲労物質が蓄積 → 肩こりが慢性化。
● ストレス性肩こりの特徴
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朝より夕方に悪化しやすい。
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マッサージで一時的に緩和しても、すぐ再発。
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頭痛や耳鳴り、めまいを伴うこともある。
● 解決策
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深呼吸、瞑想、ヨガ、ストレスマネジメント講座など、自律神経のバランスを取る習慣を導入。
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就寝前のスマホをやめ、間接照明やぬるめの入浴で副交感神経優位に。
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2022年の東京大学の研究では、1日15分の呼吸瞑想を3週間継続した群で、肩こりの自覚症状が40%改善したと報告されています。
2. 「内臓機能の低下が筋肉に現れる」──反射性肩こりのメカニズム
● 体の“内”からくる痛み
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肩こりは、筋肉の問題だけではなく、内臓の不調が反射的に肩や首の筋肉に影響を与えることがあります。
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胃腸や肝臓、胆のう、心臓などに不調があると、その関連部位(トリガーポイント)に痛みが現れることがある。
● 反射性肩こりの事例
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胃腸が弱っている人 → 左の肩甲骨の内側に痛み。
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肝機能が低下している人 → 右肩や首すじに違和感。
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呼吸器系(気管支炎や肺疾患) → 両肩に鈍痛。
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心臓疾患(特に女性) → 左肩の奥が締め付けられるような違和感。
● どう対応する?
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食生活の見直し(高脂肪・高糖質食品の減少、抗酸化食品の摂取)
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消化器内科や循環器内科での精密検査。
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肩だけでなく、「胃腸の調子はどうか?」「便通は?」と全身を観察する習慣。
3. 「呼吸の浅さが肩こりを招く」──現代人の無意識の呼吸習慣
● 肩で息をしていませんか?
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デスクワーク中、集中していると無意識に「浅い呼吸」になりやすい。
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この呼吸は、胸や肩の筋肉(僧帽筋、胸鎖乳突筋)を使うため、筋肉が常時使われ緊張し、肩こりの原因となる。
● 胸式呼吸 vs 腹式呼吸
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胸式呼吸:交感神経が優位になりやすく、肩まわりの筋肉に負担がかかる。
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腹式呼吸:副交感神経を刺激し、肩の筋肉がリラックスしやすい。
● 改善法:呼吸筋トレーニング
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寝る前に「腹式呼吸」を3分間×2セット
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ヨガやピラティス、吹奏楽器などを通じて呼吸法を鍛える
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呼吸と連動した体幹筋のストレッチを習慣にする
おわりに
肩こりは姿勢だけが原因ではなく、「心の状態」「内臓の不調」「呼吸の質」といった、体全体のコンディションが深く関わっています。
これらの要素を無視して姿勢や筋肉だけにアプローチしても、根本的な解決には至りません。
「肩がこっている」の裏にある、あなたの体からのSOSを正確に読み取ることが、真の健康への第一歩なのです。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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江部康二(2021)『自律神経と痛み:ストレスと慢性痛の関連』医学書院
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根来秀行(2023)『呼吸が変わると体が変わる』講談社
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Harvard Health Publishing – The link between stress and chronic pain