今回は、骨折後のリハビリでやるべきこと、やってはいけないことについて説明していきます
理学療法士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
目次
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はじめに
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骨折後リハビリの基本的な考え方
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やるべきこと:回復を早める正しい習慣
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やってはいけないこと:回復を遅らせる危険な行動
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最新研究から学ぶ効果的なリハビリ
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リハビリを継続するコツ
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おわりに
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参考文献
はじめに
骨折は一時的に骨の問題にとどまらず、筋力低下、関節可動域制限、さらには日常生活の不自由を引き起こします。
特に高齢者では、骨折後のリハビリの有無や方法の違いが、その後の生活の質(QOL)を大きく左右します。
多くの人が「骨がくっついた=治った」と思いがちですが、実際には骨癒合後のリハビリがとても重要です。
ここでは、骨折後にやるべきことと、逆に避けるべき行動を整理し、最新の研究結果も踏まえながらわかりやすく解説します。
骨折後リハビリの基本的な考え方
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骨が治るだけでなく機能回復が目的
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動かさないと筋力が急激に低下する
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適度な荷重刺激が骨の修復を促進する
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専門家の指導の下で安全に行うことが大前提
👉骨折後は「安静が必要」と思われがちですが、最新のリハビリテーションでは「できるだけ早期に安全な範囲で動かす」ことが推奨されています。
やるべきこと:回復を早める正しい習慣
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関節可動域訓練:固定部位以外を積極的に動かす
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筋力トレーニング:患部以外の筋肉を維持する
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荷重訓練:医師の許可の範囲で徐々に体重をかける
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生活動作の再学習:歩行・階段昇降などをリハで練習
👉特に重要なのは「動かせる部位を必ず動かす」こと。例えば、腕を骨折しても手首や指を動かすだけで、筋力低下や関節拘縮を予防できます。
やってはいけないこと:回復を遅らせる危険な行動
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自己判断で安静を長引かせる
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痛みを我慢して過負荷運動を行う
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リハビリを途中で中断する
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偏った生活で栄養不足を招く
👉「痛いから動かさない」「怖いから歩かない」といった行動は、回復を遅らせる最大の要因です。逆に、痛みを無視して過度に運動するのも危険です。
最新研究から学ぶ効果的なリハビリ
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早期荷重が骨癒合を促進(欧州整形外科学会 2022)
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高強度筋トレは再骨折リスクを減少(J Bone Miner Res 2021)
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多職種連携リハで転倒率を低下(Lancet 2020)
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在宅運動プログラムで機能維持が可能(JAMA 2019)
👉近年の研究では「安静よりも早期運動」の有効性が繰り返し示されています。特に高齢者の骨折後は、退院後も在宅で運動を継続することが重要とされています。
リハビリを継続するコツ
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毎日少しずつでも動かす習慣をつける
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痛みを10段階中3以下で抑えるのを目安にする
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家族や仲間と一緒に取り組む
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リハビリを「生活の一部」に組み込む
👉継続が最大のカギです。「一気に頑張る」より「コツコツ続ける」ほうが長期的には効果が大きいことがわかっています。
おわりに
骨折後のリハビリは「骨を治す」だけでなく、「動きを取り戻す」ことに大きな意味があります。
正しい運動を行うことで、再び日常生活にスムーズに復帰し、再骨折の予防にもつながります。
逆に、間違った行動やリハビリの中断は、一生の後遺症や生活の質の低下を招く可能性もあります。
骨折後は医師や理学療法士の指導のもと、安全かつ効果的にリハビリを継続していきましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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Flikweert ER, et al. “Early weight-bearing versus delayed weight-bearing after lower limb fracture.” Eur J Orthop Surg Traumatol. 2022.
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Daly RM, et al. “Effect of high-intensity exercise on bone mineral density and fracture risk.” J Bone Miner Res. 2021.