今回は、介護と仕事、どう両立する?リアルな体験談を書いていきます
医療従事者として働いた経験を書いていますので、是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
日本は超高齢社会に突入し、仕事と介護を同時にこなさなければならない人が急増しています。
実際、40〜50代の働き盛りの約5人に1人が「仕事と介護の両立」に直面しているというデータもあります(厚生労働省調査 2022年)。
しかし、「介護」と「仕事」の両立は、言葉で言うよりも遥かにハードです。
「職場に迷惑をかけたくない」「介護の知識が全くない」「精神的にも身体的にも限界」など、多くの壁にぶつかります。
今回は、リアルな3つの体験談を紹介しながら、介護と仕事をどう両立させたのか、どんな工夫が役立ったのか、そしてどんな制度が実際に助けになったのかを詳しく解説します。
1. 【体験談1】外資系企業勤務・シングル女性(50代):在宅介護とテレワークの両立
背景
- 地方に住む母親(認知症:中等度)を東京から支援
- 外資系企業でフルタイム勤務、役職あり
- コロナ禍を機にテレワーク制度が導入され、介護と仕事の両立を決意
工夫したこと
- 母の生活パターンを「ルーティン化」
- 介護時間を「早朝」「昼休み」「夕方」に固定し、オンライン会議とぶつからないよう調整
- 介護ヘルパー・デイサービスをフル活用
- 週3回のデイサービス+訪問介護で「日中の自分時間」を確保
- クラウド型介護日記アプリで情報共有
- 兄弟やケアマネとアプリで記録を共有、連携の負担を軽減
- 職場へのオープンな相談
- 「介護がある」と公言、理解ある上司のもとで仕事量の調整も可能に
実感したこと
- 在宅勤務は万能ではないが、介護との親和性は高い
- 精神的に不安定になりやすいため、オンラインカウンセリングも利用
- 職場のサポート体制が最も大きな差になる
2. 【体験談2】中小企業の営業職・男性(40代):父の突然の介護と仕事の調整
背景
- 72歳の父親が脳梗塞で倒れ、要介護2に
- 妻と子どもがいる家庭を支えながら、急に始まった介護生活
- 中小企業で営業職、外回りが多く柔軟な勤務調整が難しい状況
工夫したこと
- 介護休業を短期で取得(合計21日)
- 要介護認定とケアプラン作成期間を乗り切るため、一時的に休業
- 地域包括支援センターをフル活用
- 地域のケアマネとつながり、介護サービスを一括で整備
- 介護タクシーと配食サービスの併用
- 通院の付き添いを委託し、営業活動に集中する日を確保
- 「仕事は変えない、働き方は変える」の意識改革
- 一部業務を在宅化、営業アシスタントを育成して分担体制を構築
実感したこと
- 中小企業でも介護休業は取得可能
- 「相談すれば何とかなる」ことが多い
- 制度を知っているかどうかが勝負の分かれ目
3. 【体験談3】公務員・女性(30代):早期からの準備でトラブル回避
背景
- 両親が70代後半、少しずつ記憶力に不安が出始めたことから「介護の予兆」を感じて準備を開始
- 公務員として正職員勤務、福利厚生は比較的整っている環境
工夫したこと
- 40代前から「介護予備軍」として制度を調べ始める
- 介護保険、介護休業、在宅サービスの全体像を早めに学習
- 親と“介護の価値観”について話し合う時間を確保
- 「施設に入りたいか」「どんな介護が理想か」を事前に共有
- 職場と相談して「介護短時間勤務」へ移行
- 時短勤務で精神的・身体的負担を軽減
- 親の生活・医療データをデジタルで一元管理
- 緊急時対応を迅速化(薬歴、主治医、通院先などをまとめたファイル作成)
実感したこと
- 「まだ介護じゃない」うちに準備することが最大の武器
- 親との対話は最も重要なケアの1つ
- 制度は使って初めて価値を持つ
おわりに
3つの異なるリアル体験談から見える共通点は、**「介護と仕事の両立には“準備と情報”がカギ」**ということです。
特に重要なポイントは:
- 介護は突然始まることが多いため、早めに制度やサービスを調べておく
- 自分ひとりで抱え込まず、家族・職場・地域の支援を上手に巻き込む
- 精神的に疲れたら、プロ(カウンセラーやケアマネ)に頼る勇気を持つ
介護を理由にキャリアを諦めないために。
まずは、自分の働く職場にどんな制度があるのか、確認するところから始めましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
- 厚生労働省「令和4年度 仕事と介護の両立支援に関する調査」
- 独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)「介護離職ゼロへの挑戦」
- OECD Report: Balancing Paid Work and Unpaid Care Work (2022)