今回は狭心症の一種である「不安定性狭心症」について説明していきます。
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
不安定狭心症(Unstable Angina, UAP)は、急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome, ACS)の一部で、主に心筋への血流が不十分になることで生じます。
この状態は、急性心筋梗塞や突然死の前段階とされるため、迅速な診断と治療が求められます。
特徴的なポイント
- 主に冠動脈内の動脈硬化性プラークの不安定化や破裂によって発生。
- 初期症状として、胸痛の頻度や強さの増加、または安静時の発作が多い。
この疾患は、医師や医療チーム、心リハ指導士が協力して治療と予防に取り組む必要があります。
今回は
- 不安定狭心症の原因とリスク因子
- 症状と診断方法
- 治療法と心臓リハビリの役割
をもとに、不安定性狭心症について説明していきます。
1. 不安定狭心症の原因とリスク因子
主要な原因
- 動脈硬化: 動脈の壁に脂肪やコレステロールが蓄積し、血流を妨げるプラークを形成。
- プラーク破裂: プラークが破裂し、血栓が形成され冠動脈を部分的に閉塞。
- 冠動脈痙攣: 冠動脈が一時的に収縮し、血流が制限される。
リスク因子
- 高血圧、高コレステロール血症、糖尿病
- 喫煙、肥満、運動不足
- 心血管疾患の家族歴
対策として
- LDLコレステロールの管理や禁煙指導が重要。
- 食事療法では、野菜中心の低脂肪食や地中海式食事法が推奨されます。
2. 症状と診断方法
主な症状
- 胸部症状: 圧迫感、痛みが安静時や夜間に発生する場合が多い。
- 持続時間: 一般的には10分以上続くことがあり、頻度が増す傾向。
- 伴随症状: 呼吸困難、発汗、めまい、吐き気を伴う場合も。
診断方法
- 心電図(ECG): T波変化やST変化が見られる場合が多い。
- 血液検査: トロポニン値が上昇しないことが、心筋梗塞との違い。
- 画像診断: 冠動脈CTやカテーテル検査で狭窄部位を特定。
診断は多角的に行われ、特に血液検査や画像検査が重要な役割を果たします。
3. 治療法と心臓リハビリの役割
治療法
- 薬物治療
- 抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル)で血栓形成を予防。
- β遮断薬で心臓の負担を軽減。
- 硝酸薬やカルシウム拮抗薬で血管を拡張。
- 手術療法
- PCI(経皮的冠動脈インターベンション)やCABG(冠動脈バイパス術)が必要な場合も。
心臓リハビリの重要性
- 運動療法により血管機能を改善し、再発を予防。
- 食事療法では、飽和脂肪酸や塩分の摂取制限を指導。
- 精神的なストレス軽減と健康的な生活習慣の確立をサポート。
おわりに
不安定狭心症は、急性冠症候群に進行する前段階として重要な疾患です。
患者が適切な治療と生活習慣の改善に取り組むことで、予後の大幅な改善が期待されます。
特に、心リハ指導士の役割は、患者の再発防止と生活の質の向上に欠かせないものです。
健康診断や医療機関への早期受診を忘れず、日常生活でのケアを徹底しましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
- 日本循環器学会. “不安定狭心症の診断と治療ガイドライン.”
- American Heart Association. “Guidelines for the Management of Unstable Angina.” リンクはこちら.
- 国立循環器病研究センター. “不安定狭心症に対するリスク管理.”