今回は、心臓にいい塩分の控え方について説明していきます。
心リハ指導士の立場から説明していきますので、是非最後まで読んでみて下さい!
はじめに
塩分は私たちの体にとって欠かせない栄養素ですが、過剰な摂取は高血圧や心臓病のリスクを高めることが知られています。
特に日本では、食文化の影響から塩分摂取量が世界的に見ても多い傾向にあります。
しかし、「塩分はどこまで控えれば健康に良いのか?」という疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
今回は、
- 塩分が心臓に与える影響とは?
- どこまで塩分を控えればいいの?
- 今日からできる塩分控えめ生活のポイント
をもとに、最新の研究をもとに塩分と心臓の関係や適切な摂取量の目安、減塩の具体的な方法を詳しく解説します。
1. 塩分が心臓に与える影響とは?
● 塩分と血圧の関係
- 塩分を摂取すると、体内のナトリウム濃度が上昇し、血液中の水分量が増加します。これが血圧の上昇につながります。
- 日本高血圧学会のガイドラインでは、食塩の過剰摂取は収縮期血圧を2~6mmHg上昇させることが報告されています。
- 血圧が高くなると、心臓に負担がかかり、心不全や心筋梗塞のリスクが高まります。
● 最新の研究データ
2023年に発表されたアメリカ心臓協会(AHA)の研究では、塩分摂取量が1日5g以下の人は心疾患リスクが20%以上低下することが明らかになっています。
また、日本の厚生労働省の調査では、1日の塩分摂取量が8gを超えると心血管疾患のリスクが顕著に上昇することが示されています。
2. どこまで塩分を控えればいいの?
● 適切な塩分摂取量の目安
厚生労働省が定める1日の塩分摂取量の目標は次の通りです。
年齢・性別 | 目標量 |
---|---|
成人男性 | 7.5g未満 |
成人女性 | 6.5g未満 |
高血圧の人 | 6.0g未満 |
世界保健機関(WHO) | 5.0g未満 |
高血圧や心疾患のリスクが高い方は、WHOの基準である1日5g未満を目指すのが理想的です。
● 塩分を控えすぎるとどうなる?
一方で、塩分を極端に控えすぎることも問題です。
- 塩分不足はナトリウム欠乏症を引き起こし、倦怠感や食欲不振の原因になります。
- 2022年のヨーロッパ心臓病学会の研究では、1日2g以下の塩分摂取は心血管疾患のリスクを逆に高めることが指摘されています。
3. 今日からできる塩分控えめ生活のポイント
● 減塩のコツ
- 味噌や醤油は後がけにする
煮込み料理の途中で調味料を入れると、素材に塩分が染み込んでしまいます。食べる直前にかけると、少量でもしっかり味を感じられます。 - 減塩調味料を活用する
最近では、塩分を30~50%カットした醤油や味噌が販売されています。これらをうまく取り入れることで、塩分を減らしつつ美味しさをキープできます。 - だしの旨味を活かす
かつおだしや昆布だしを使うと、塩分を抑えても満足感のある味に仕上がります。
● 外食や加工食品の選び方
- メニューを選ぶ際は**「減塩」「低塩」**の表示があるものを選ぶ。
- 加工食品の栄養成分表示を確認し、ナトリウム量が100gあたり400mg以下のものを選びましょう。
おわりに
塩分控えめ生活は、心臓を守るために非常に重要な習慣です。
しかし、ただ塩分を減らせばよいわけではなく、適切な量を知り、健康を維持することが大切です。
最新の研究では、塩分摂取量が多すぎても少なすぎても心疾患リスクに影響を及ぼすことが明らかになっています。
「どこまで控えればいいのか?」の答えは、1日5~7gを目安に、自分の健康状態に合わせて調整することです。
今日からできる工夫を取り入れながら、無理なく塩分控えめ生活を始めましょう。
参考文献
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- American Heart Association, “Low Sodium Intake and Cardiovascular Risk” (2023)
- 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2023」