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医療従事者が教える介護保険の特定疾病について

今回は介護保険の特定疾病について説明していきます。

プロとして知っておきたい! 介護保険のしくみと使い方 2024-2027年対応版 ケアマネ・相談援助職必携 [ 中央法規「ケアマネジャー」編集部 ]

少し難しい話にはなりますが、是非最後まで読んでみて下さい!

はじめに

日本の高齢化社会において、介護保険制度は、高齢者や要介護者を支援するための重要な仕組みです。

この制度では、65歳以上の方を対象とする「第1号被保険者」と、40歳から64歳の医療保険加入者を対象とする「第2号被保険者」に分けられます。

特に、第2号被保険者が介護保険を利用できるのは、特定疾病によって要介護状態になった場合のみです。

この特定疾病に該当するかどうかは、介護保険の利用において非常に重要なポイントとなります。

今回は、

  1. 介護保険における特定疾病とは?
  2. 特定疾病の一覧とその特徴
  3. 介護保険の申請と利用方法

をもとに、「特定疾病とは何か」「介護保険における特定疾病の一覧とその特徴」「特定疾病に該当した場合の介護保険の利用方法」について解説し、医療従事者の視点からわかりやすくお伝えします。


1. 介護保険における特定疾病とは?

特定疾病の概要

介護保険の特定疾病とは、40歳から64歳までの方が介護保険を利用するための条件となる疾病を指します。

通常、介護保険は65歳以上の高齢者が主な対象ですが、特定疾病に該当する場合は、40代や50代でも介護サービスを受けることが可能です。

この制度の目的は、若年層でも介護が必要な場合に迅速に支援を行うことです。

特定疾病の該当条件

特定疾病に該当するためには、以下の条件を満たす必要があります:

  1. 要介護状態または要支援状態にあることが認められること。
  2. 特定疾病の診断を受けていること。

厚生労働省が定める特定疾病は、16種類に分類されており、これらの疾病によって日常生活が制限される場合に介護保険を利用することができます。


2. 特定疾病の一覧とその特徴

代表的な特定疾病とその症状

  1. がん(末期)
    • 末期がんは、治療が困難で余命が6ヶ月以内と診断された場合に該当します。この状態では、疼痛管理や日常生活の支援が必要となるため、介護保険が適用されます。
    • 特徴:強い痛み、倦怠感、体力の低下などにより、日常生活に支障をきたします。
  2. 関節リウマチ
    • 関節リウマチは、自己免疫反応によって関節が破壊される病気です。関節の腫れや痛み、変形が進行し、最終的には歩行や手の動きに支障をきたします。
    • 特徴:長期間にわたる治療が必要で、重症化すると日常生活が困難になるため、介護支援が必要です。
  3. 進行性筋ジストロフィー
    • 筋力が徐々に低下し、最終的には寝たきりの状態になる進行性の筋疾患です。特に若年層でも発症することがあり、早期の介護支援が求められます。
    • 特徴:呼吸困難や嚥下障害を伴うことが多く、専門的なケアが必要です。
  4. 脳血管疾患(脳卒中など)
    • 脳卒中や脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管疾患により、麻痺や言語障害、認知機能の低下が生じます。
    • 特徴:リハビリテーションや日常生活支援が必要なため、介護保険の対象となります。
  5. パーキンソン病および関連疾患
    • パーキンソン病は、ドーパミンの不足により運動機能が低下する疾患です。震えや筋肉のこわばり、バランス障害などが特徴です。
    • 特徴:進行すると歩行困難や転倒のリスクが増し、介護が必要になります。

その他の特定疾病

他にも以下のような疾病が特定疾病に含まれます:

  • 骨粗鬆症に伴う骨折
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 糖尿病性腎症などの重症糖尿病合併症
  • 閉塞性動脈硬化症

これらの疾病により、生活機能が低下し、介護が必要となる場合に介護保険のサービスを受けることが可能です。

 


3. 介護保険の申請と利用方法

介護保険の申請手順

特定疾病に該当する場合、介護保険の申請は市区町村の窓口で行います。主な手順は以下の通りです:

  1. 介護認定申請書の提出:診断書とともに、市区町村の福祉課に申請書を提出します。
  2. 要介護認定の審査:医師の意見書や面接調査を基に、介護度が決定されます。
  3. ケアプランの作成:認定を受けた後、ケアマネージャーがケアプランを作成し、必要な介護サービスを調整します。

介護サービスの内容

特定疾病に該当し、要介護認定を受けた方は、以下のようなサービスを受けることができます:

  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 訪問看護(在宅での看護ケア)
  • デイケア(日帰りのリハビリテーション)
  • 施設介護(特別養護老人ホームなど)

これらのサービスにより、要介護者の生活の質(QOL)を向上させることが期待されます。

 


おわりに

介護保険の特定疾病について理解することは、介護が必要な状況に備えるために非常に重要です。

特に、40歳から64歳の年齢層であっても、特定の疾病に該当する場合には介護保険を利用することが可能です。

医療従事者として、患者やその家族が適切な支援を受けられるように、介護保険の制度を正しく理解し活用することが求められます。

早期の介護サービス利用により、介護者の負担を軽減し、患者のQOLを向上させることができます。

この記事が、介護保険の利用を検討する際の参考になれば幸いです。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

 


参考文献

  1. 厚生労働省「介護保険制度の概要」2023年版
  2. 日本介護学会『介護保険と特定疾病の実際』2022年
  3. World Health Organization, “Chronic Diseases and Aging,” 2023

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