今回は、整形外科でよく聞く「リハビリ」について説明していきます
理学療法士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
目次
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はじめに
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整形外科リハビリの基本的な目的
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理学療法士が行うリハビリの実際
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自宅でできるリハビリと病院での違い
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最新研究が示すリハビリの効果
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今後のリハビリの展望
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おわりに
参考文献
はじめに
整形外科を受診した際によく耳にする「リハビリ」。しかし「電気を当てたり、マッサージしたりすること?」と漠然としたイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
実際のリハビリテーション(以下リハビリ)はもっと幅広く、機能の回復・維持・予防を目的とした体系的なプログラムです。
特に日本は高齢化が進み、膝や腰、肩の痛みに悩む方が増加しているため、リハビリの重要性は年々高まっています。
本記事では、リハビリの基本から、整形外科での実際の内容、最新研究が示す効果、そして未来のリハビリの姿まで、専門家の視点で分かりやすく解説していきます。
整形外科リハビリの基本的な目的
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痛みの軽減と機能改善
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関節の動きの回復
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筋力やバランス能力の維持
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再発予防・生活動作の改善
リハビリは単なる治療ではなく、「元の生活に近づけること」「再発を防ぐこと」が大きな目的です。
特に整形外科では、運動器リハビリテーションと呼ばれる分野が中心で、関節や筋肉の機能改善がメインとなります。
理学療法士が行うリハビリの実際
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手技療法(ストレッチや関節モビライゼーション)
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運動療法(筋力強化・有酸素運動)
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物理療法(温熱・電気刺激)
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動作指導(歩行・階段昇降・起き上がり動作の練習)
理学療法士は、患者の状態を評価し、痛み・可動域・筋力を確認した上で、オーダーメイドのリハビリプログラムを作成します。
例えば膝の変形性関節症なら大腿四頭筋の強化、腰痛なら体幹安定化トレーニング、肩関節疾患なら肩甲骨の安定性改善などが中心となります。
自宅でできるリハビリと病院での違い
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自宅:簡単な筋トレやストレッチ中心
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病院:専門機器を用いた筋力・バランス訓練
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自宅:日常動作に取り入れる予防的リハビリ
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病院:痛みや炎症のコントロールを含む
自宅でのリハビリは継続がしやすく、病院でのリハビリは専門性の高い指導が受けられるという違いがあります。
最新の研究では「自宅での運動と病院リハビリを組み合わせることが最も効果的」と報告されています(2023年 米国理学療法学会誌)。
最新研究が示すリハビリの効果
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筋力低下を防ぐ効果
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慢性疼痛の軽減に有効
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認知機能の維持にも寄与
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医療費の削減に貢献
最近の海外研究では、膝関節症や腰痛だけでなく、心疾患や糖尿病患者においても運動療法としてのリハビリが全身的な健康改善に寄与することが示されています。
また、高齢者においてリハビリが転倒予防だけでなく、認知症リスクの低下にもつながるという報告もあります。
今後のリハビリの展望
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AIやセンサーを活用したリハビリ評価
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VRを用いた動作学習
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遠隔リハビリ(テレリハビリ)の普及
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個別化医療に基づいたオーダーメイドリハビリ
日本では2025年問題(団塊の世代が後期高齢者になる年)を見据えて、自宅や施設でのリハビリ普及が求められています。
最新技術を取り入れたリハビリは、より効率的かつ楽しく継続できるものへ進化しています。
おわりに
整形外科で行われるリハビリは、単なる「痛みを和らげる処置」ではなく、生活の質を高め、再発を防ぎ、長く健康に暮らすための重要な手段です。
特に慢性疾患を持つ方や高齢者にとって、リハビリは「人生を支える治療」といっても過言ではありません。
これから整形外科を受診する方は、「リハビリ=自分に必要な未来への準備」と考えて取り組んでいただければと思います。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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American Physical Therapy Association. The Role of Physical Therapy in Musculoskeletal Disorders, 2023.
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厚生労働省「運動器リハビリテーションの現状と課題」2022年.
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PubMed: Effects of combined home and hospital rehabilitation on musculoskeletal disorders