今回は脳卒中の患者様に使われるSIASについて説明していきます。
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様々な文献を用いて説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
SIAS(Stroke Impairment Assessment Set:脳卒中機能障害評価法)は、脳卒中発症による機能障害を定量化するための総合評価指標の一つで、1989年に開発されました。
- 麻痺側運動機能(5項目)
- 筋緊張(4項目)
- 感覚障害(4項目)
- 関節可動域(2項目)
- 疼痛(1項目)
- 体幹機能(2項目)
- 視空間認知(1項目)
- 言語機能(1項目)
- 非麻痺側機能(2項目)
各項目ともに3点または5点満点で評価され、障害の程度が軽いほど得点は高くなります。
この評価法は、運動機能障害だけでなく、高次脳機能障害も評価対象項目であるため、脳卒中の機能障害を総合的に評価することができます。
また、信頼性と妥当性が確認されており、脳卒中機能障害評価セットの推奨グレードはAです
急性期脳卒中患者における最終転帰先および回復期病院在院日数予測因子
参考文献:急性期脳卒中患者における最終転帰先および回復期病院在院日数予測因子(脳卒中連携パスを利用した単施設急性期病院による検討)
この研究では2013年4月~2016年3月にかけて、急性期脳卒中入院加療した493症例を、転院先で返答を得られた121例(63%)を対象とされています。
対象は、男性57例(47%)、平均年齢74.5%±11.9歳とし、診療録より後方視的に調査されています。
結果として、退院時の転帰先は自宅90例、施設31例
施設退院者と比較して、入院1週目でのSIASが高いことが示されています。
また、最終転帰先が自宅退院となる入院1週目のSIASのカットオフ値は54.5となっています。
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急性脳卒中患者の歩行予後予測
参考文献:急性期脳卒中患者の歩行の予後予測
この研究では2004年4月~2006年3月にかけて2年間入院し、リハビリを8日以上実施した脳卒中患者さんの249名(男性146名、女性103名)を対象とされています。
その他の対象内容としては、初発、発症翌日までに入院、一側性病変、開始時のFIM歩行5点以下を満たすことが条件とされており、平均年齢は70±12歳です。
結果として、年齢69歳以下、トイレ移乗4点以上、記憶4点以上、下肢近位テスト3点以上では90.4%の確率で歩行可能とされています。
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脳卒中片麻痺患者の歩行自立に影響する運動機能とその基準
参考文献:脳卒中片麻痺患者の歩行自立に影響する運動機能とその基準
この研究では、回復期9施設の多施設共同研究にて実施されています。
対象は、症例数193名(男性120名、女性73名)であり、年齢は66.8歳±14.8歳、発症日数104.5±79.1日となっています。
除外項目としては、一側大脳半球に病巣を有する脳卒中患者で、小脳や脳幹の病変による明らかな失調症状を生じているもの、原因疾患に対する治療により安静度が制限されているもの、検査実施が困難な著しい高次脳機能障害や認知症を伴うもの、重度の骨関節疾患や下肢の痛み、視力障害により歩行制限のあるもの、2回以上の発作を生じたものとされています。
結果として、運動機能において「BRS下肢」、「SIAS体幹腹筋力」、「体幹機能:FACT」が有意な変数として採択され、それぞれのカットオフ値が、「BRS下肢:stageⅤ」、「SIAS:体幹腹筋力3点」、「FACT:14点」となっています。
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おわりに
脳卒中の評価法であるSIASは、回復の過程や治療の効果を客観的に把握できる大切なツールです。
患者さん一人ひとりの機能を多面的に評価できるため、リハビリテーションの方針を適切に決める助けとなります。
また、継続的に評価することで、治療効果を確認し、必要なサポートや改善策を迅速に講じることが可能です。
医療従事者としては、SIASを上手に活用し、患者さんの回復を支援することが重要です。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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