今回は、「敗血症」の早期発見と予防策について説明していきます。
医療従事者の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
はじめに
敗血症(Sepsis)は、感染症が全身に広がり、重篤な臓器障害を引き起こす致死率の高い病気です。
世界保健機関(WHO)によると、毎年数百万人が敗血症により命を落としています。
この疾患は早期発見と適切な予防策により、その発生を大幅に減らすことが可能です。
しかし、敗血症についての認識不足がその対策を難しくしています。
今回は、
- 敗血症の早期発見方法
- 敗血症の予防策
- 敗血症を知ることの重要性
をもとに、敗血症の早期発見方法、予防策、そしてその重要性について詳しく解説します。
敗血症の早期発見方法
身体の異常を見逃さない
- 高熱または低体温: 敗血症の初期症状として、体温が極端に高くなる、または低下する場合があります。特に38°C以上または36°C以下の体温は注意が必要です。
- 急激な呼吸困難: 呼吸回数が1分間に20回以上になる場合や、息苦しさを訴える場合は敗血症の可能性があります。
臓器障害の兆候をチェック
- 尿量の減少: 尿の出が急激に減るのは、腎臓機能が低下している兆候です。
- 意識の混濁: 突然の混乱やぼんやりとした意識状態は、敗血症性ショックに進行する可能性を示唆します。
診断ツールの活用
- qSOFAスコア: 病院外でも使用できる簡便な評価方法で、呼吸数、意識レベル、血圧を基準にリスクを判定します。
- 血液検査: 白血球数の異常、CRPの上昇、プロカルシトニン(PCT)値の測定が敗血症診断の指標となります。
敗血症の予防策
日常生活でできる予防策
- 感染症予防: 手洗い、マスクの着用、ワクチン接種(例: インフルエンザ、肺炎球菌)などの基本的な感染症予防策を徹底します。
- 健康的な生活習慣: 十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は免疫力を高め、感染症にかかりにくい体を作ります。
医療現場での対策
- 早期治療: 感染症の兆候を見逃さず、早期に抗菌薬を使用することで敗血症への進行を防ぎます。
- 集中管理: ICUにおける早期の輸液管理、血圧の維持、酸素投与が重要です。
特定リスク群への対応
- 免疫抑制患者: 化学療法や免疫抑制剤を使用している患者は、感染症へのリスクが高いため、特別な監視が必要です。
- 慢性疾患を持つ患者: 糖尿病、腎不全、心不全などの基礎疾患を持つ人は、敗血症に進行するリスクが高いです。
敗血症を知ることの重要性
社会的影響
- 毎年、敗血症に関連する医療費は莫大で、患者のQOL(生活の質)を大きく損なう結果をもたらします。
- 家族や介護者への負担も重大です。早期発見と予防は患者とその周囲の人々の生活を守る手段となります。
医療従事者の役割
- 敗血症の兆候をいち早く認識し、迅速な対応を行うことは医療従事者の重要な責務です。
- 一般の人々への教育を通じて、敗血症についての正しい知識を広めることも求められます。
おわりに
敗血症は、早期発見と予防策を徹底することで発生率を大幅に減らすことができます。
そのためには、日常生活での感染症予防策を習慣化し、身体の異常を見逃さないことが重要です。
また、医療現場での早期診断と適切な治療が患者の命を救います。
敗血症に関する理解を深め、社会全体でその対策に取り組むことが求められます。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
参考文献
- Singer, M., Deutschman, C. S., Seymour, C. W., et al. (2016). The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3). JAMA, 315(8), 801-810. https://jamanetwork.com
- World Health Organization. (2020). Sepsis. Retrieved from https://www.who.int
- Vincent, J. L., et al. (2021). Sepsis in European ICUs: Results of the SOAP study. Critical Care Medicine, 34(2), 344-353.