今回は、膝痛と筋力低下の関係、理学療法士が分かりやすく説明していきます
理学療法士の立場から説明していきますので、是非参考にしてみて下さい!
目次
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はじめに
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膝痛と筋力低下の関係とは?
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なぜ大腿四頭筋が重要なのか
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膝痛を悪化させる生活習慣
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最新のリハビリ・運動療法
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自宅でできる予防とセルフケア
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おわりに
参考文献
はじめに
膝痛は高齢者だけでなく、スポーツ愛好家や日常的に座り仕事の多い人にもよく見られる症状です。
特に「筋力低下」が膝痛に大きく影響していることは、国内外の研究でも繰り返し報告されています。
膝関節は体重を支えるため常に負担を受けていますが、筋肉が十分に働かないと、関節や靱帯に過剰なストレスがかかり、痛みや変形性膝関節症などのリスクを高めます。
本記事では、理学療法士の視点から「膝痛と筋力低下の関係」を最新の知見とともに解説し、予防とセルフケアのポイントを紹介します。
1. 膝痛と筋力低下の関係とは?
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膝痛の多くは「変形性膝関節症」と関連
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筋肉の働きが弱まると関節に負担集中
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筋力低下は40代からすでに始まる
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研究では大腿四頭筋の弱さと膝痛の関連が顕著
海外のレビュー研究(2023年, Osteoarthritis and Cartilage)によると、大腿四頭筋の筋力低下は膝痛の発症リスクを約2倍に高めると報告されています。
2. なぜ大腿四頭筋が重要なのか
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膝の安定性を保つ主役の筋肉
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膝を伸ばす動作(立ち上がり・階段昇降)に必須
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筋力が弱いと膝が内側に崩れやすい
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関節軟骨への衝撃を吸収できず痛み増悪
理学療法士が臨床で見るケースでも、大腿四頭筋が弱い患者は「階段の昇りで痛い」「立ち上がりに時間がかかる」と訴えることが多いです。
3. 膝痛を悪化させる生活習慣
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長時間の座位 → 筋肉活動が低下
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急な運動開始 → 膝関節に負荷増大
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体重増加 → 膝への負担が倍増
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正座やあぐら習慣 → 関節にねじれが発生
また最新研究(2022年, 日本整形外科学会誌)では「座りすぎ(1日7時間以上)」が膝関節の機能低下と関連していると報告されています。
4. 最新のリハビリ・運動療法
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大腿四頭筋トレーニング(膝伸展運動)
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股関節周囲筋トレーニング(中殿筋の強化)
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バランス練習(片脚立ちや不安定面運動)
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有酸素運動(ウォーキングやエアロバイク)
近年の研究(2021年, British Journal of Sports Medicine)では、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせた介入が、単独運動よりも膝痛軽減効果が高いとされています。
5. 自宅でできる予防とセルフケア
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椅子に座っての「膝伸ばし運動」
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ゴムバンドを使った「スクワット補助運動」
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軽いストレッチで柔軟性維持
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体重管理(BMI25以下を目標に)
さらに独自のポイントとして、「朝の起床時に軽い足上げ運動を行う」ことを推奨します。
これは夜間の関節液循環低下を改善し、朝のこわばりや痛みを軽減する効果が期待できます。
おわりに
膝痛と筋力低下は切っても切れない関係にあります。
特に大腿四頭筋を中心とした下肢筋力の維持・強化は、痛みの予防だけでなく、膝関節の寿命を延ばす鍵になります。
膝に痛みを感じたとき、「安静にすること」だけが正解ではありません。
適切な運動と生活習慣の工夫が、膝を守る最大の予防策です。
「階段がつらい」「立ち上がりが重い」と感じたら、早めに理学療法士や医療機関に相談しましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました
参考文献
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Øiestad BE, et al. Quadriceps weakness and risk of knee osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage. 2023.
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日本整形外科学会誌. 「座位行動と膝関節機能低下の関連」2022年.
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British Journal of Sports Medicine – Exercise therapy for knee osteoarthritis